忍者ブログ
  • 2024.03
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 2024.05
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2024/04/27 06:34 】 |
恋をした(潮→泡)

 ちょっと連作っぽいもの。
 まずは潮。
 かなりポエム。

拍手[2回]



 恋をしたの。
 エラーやバグなんかじゃない。恋が始まってからメンテナンスを受けたけれど、異常はどこにもなかったもの。もしこれが悪いものだったなら、その時に直されていて、今のドキドキだって、きっと存在しないはずだから。

 ロボットの、しかも作業用の自分が、コマンドにない恋をするなんて、本当はあり得ない事だとは思う。いらないものは極力省いて、いる部分を特化していった、その結果生まれたのが今の自分なのだから。
 でも、博士はとても優秀なロボット工学者だから、人間みたいにデータがなくっても自分から新しい行動を生み出す、そんなAIを作る事ができるかもしれないし、そこまでいなかくっても、業者の人にはわからないように、こっそりと、恋やその他が出来るようにデータを入れていてくれたかもしれない。博士は優しい人だから、色んな事ができるように、って入力してくれていたっておかしくないの。
 
 今日も遠くから、私の恋の相手を見つめる。ダイバーみたいな格好で、緑の、浅瀬の海色の機体のロボット。名前とナンバーは知っているの。DWN.011、バブルマン。DWNは注意しなさいって、この仕事を始める時に教えられたけれど、でも建前と実際とは違っている。
 広い海を相手にする仕事に、悪いロボットや良いロボットなんてあまり関係ない。垣根を越えて情報をやり取りしなければ、善悪関係なく自然の力に押しつぶされてしまう。だから悪い側と言われるロボットとでも、会話はしたりしている。 そちら側のロボットは、もちろん想像通りの性質が多いけれど、バブルマンはちょっと違っていた。たくさんの人たちが近くを見る中で、あの人は遠くを見る。多くの人達が、目の前の美しい物を見つめる中、彼はそれに隠れている、小さな、でも綺麗なものを見つける事が得意な人なのだ。
 長い間を水の中で一人過ごしてきたから、と笑って言うけれど、とても尊い事のように感じられた。あの人の見る世界は果てしなく広くて、不思議で、きっと美しいのだろうと常々思っていた。私も彼と同じ世界が見たいと、見つけた物の話をしたいと、考えるようになるのに、そんなに時間はかからなかったような気がする。そして、それが恋に変わってゆくのも。
 
 この恋が叶う、なんて思っていない。一緒の世界が見たいと言ったら、彼はきっと、僕と一緒の世界を見ちゃいけない、と言って離れてしまうから。
 恋が叶わなくってもいい。あの人がいなくなってしまうのなら、彼の見える世界に触れる事が出来なくなってしまうのならば、このままだって、構わない。
 ただ……少し願いが適うなら、人よりちょっとだけ多く、彼の世界に触れさせて下さい、と思う私はとても我が侭なのかもしれないと考える、今日この頃なのです。


 終わり
PR
【2012/12/23 22:45 】 | SS | 有り難いご意見(0)
<<25th | ホーム | 蓮ヶ畑(ネプチューン 捏造ネタあり)>>
有り難いご意見
貴重なご意見の投稿














<<前ページ | ホーム | 次ページ>>