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【2024/05/07 10:33 】 |
死球の恋(ストライクとグレネードと他)

主演はストライクとグレネード
ギャグっぽいですが腐った感じがあるかもしれません
捏造設定あり

拍手[4回]



ロボットエンザ騒動から数ヶ月。熱暴走した八体は保護観察期間を終え、収容施設から出所していた。本来ならそれぞれが以前から居住していた場所へと戻るのだが、収容所とはいえ同じ屋根の下で暮らしているうちにいつの間にか彼らは意気投合し、
「いっそ皆で同じところに住まないか?」
というコマンドの一声により、とある空き家を買い取って八体仲良く暮らしていた。

いつもと同じ午後、いつもと居間。仕事が休みのソーラーとブレード、それにシープがそれぞれ、のんべんだらりと各個人が好きな事を好きなようにやっていた。気兼ねなく振舞えるのは良いことだな、と同じことを誰となく思い始めていた時だった。
「た、たたたた助けてくれーーー!!!」
のどかな午後を破るような騒音を立てて入ってきたのは、ボールに手足が生えたような姿のロボット、ストライクマンだ。気に食わない相手にはデッドボールを食らわせる、傍若無人な彼が助けを呼びながら、しかも涙目になって家に入ってきたものだから、いつもだったら「煩い」とさらりと流すシープですらも面食らって呆然としていた。
「どうしたのストライク?」
巨体を隠そう隠そうと、必死にダイニングテーブルの下に潜るストライクに、ソーラーは声をかける。
「ややや、ヤバイ、めっちゃヤバイ、マジヤバイ、俺の命の危険が危ないっ」
なんとかがんばって身を隠そうとする様は同情を誘うが、常日頃の行動を知っているブレードとシープはやれやれと肩をすくめるだけだった。
「お前……もしかして政府のお偉いさんとかにデッドボール食らわせたのか? それとも……」
「そそそそそっそっそそ、そんなんじゃない! もっとヤバ……」
「フラッシュボム!!」
聞き慣れない声と共に、閃光と爆音がストライクの泣き声を掻き消した。
「なななな、なんだ?!」
しつこい光の瞬きが消え、ようやく状況がつかめるようになった三人の前に立っていたのは手榴弾を模した形のロボットだった。
「ド、ドクターワイリーナンバーズの……!」
「グ、グ、グレネードマンーー!!?」
彼の姿を目に入れた瞬間、ソーラーとブレードの顔から血の気ならぬオイルの気が引いた。なにしろ戦闘集団のドクターワイリーナンバーズの中でも一、二の火力を誇る鉄砲玉軍団第八期ナンバーズの一体、グレネードマンがそこにいたからだ。
「お、お前あいつに当てたのかデッドボール!!」
グレネードを指差しながらブレードは、隠れていない体を縮ませて震えるストライクに叫ぶ。
「いくらなんでも冒険しすぎだよ!」
「だってあいついちいち俺に向かって球を打って来るんだもん!それで腹がたって思わずどてっぱらに一発……」
「見つけたぜ~~ストライクぅ~~?」
ガタガタ歯の根の合わないストライクの頭を鷲掴みにし、グレネードは彼の丸い頭を自分のほうに向けさせた。その姿がさながら狼に捕まえられた羊のようで哀れを誘う。
ソーラーとブレードは、同居人のよしみでなんとかストライクを助けてやりたかった。しかし生粋の戦闘用ロボット、しかも鉄砲玉の中でも狂犬といわれるグレネードマンが相手では、付け焼刃で戦闘用となった自分たちでは、どうしようもできないしどうすることもできず、ただ心でがんばれ、とエールを送ることと神にストライクの無事を祈るしかできなかった。
「効いたぜぇ、お前のデッドボール。ほーら、俺の横っ腹がすっかりへっこんじまって……」
腕を上げて、べっこりと凹んだ青い脇腹を見せ付ける。
「戦闘用の俺のボディをここまで痛めつけるなんてお前って本当にすごいなぁ……。いや本当に……」
ストライクの震えはいよいよ最高潮に達し、股間からオイルが漏れ出すんじゃないかと思うほどである。そんな彼を見て、グレネードは薄気味悪くにやりと笑った。
「惚れた!!」
「はぁ?」
一触即発、修理依頼の電話をライト研究所に入れた方がと考え始めていた彼らに放たれたのは拳ではなかった。
「いやほんとマジ惚れだわ! あの脳天突き抜けるような衝撃、終わった後の焼け付くような痛み、マジで俺の好みだ!!」
先ほどまでのさっきはどこへやら。グレネードはすっかりでれっでれの情けない顔になり、ストライクの体に腕を絡ませていた。
「頼む! 俺にお前のデッドボールを数え切れないくらい食らわせてくれ! そんで十発に一回は俺からお前にデッドボールを当てさせてくれ!」
「う、うわあああああああああああ! ブレードーーーー! ソーラーーーー! シープーーーー! 助けてくれーーー!! こういうタイプはダメだーーーー!!」
まさかの告白にストライクはさっきとは別の意味で泣いた。デッドボールを食らって喜ぶやつなど普通はいないはずなのに、こんなやつがいたなんて信じられなかったのだ。
「さあ、マイラバー! 球場に行こう! 俺の体に消せないほどのボール痕をつけ」
「サンダーウール」
轟音と共に雷がグレネードに直撃する。真上からの攻撃を食らったショックのせいだろうか、グレネードは大きな音を立てて床に伏した。
「ストライク、大丈夫!!」
「あ、ああ、……つうかありがとうシープ」
珍しく素直に礼を述べ、ほうほうの体でストライクはグレネードから離れた。雷を食らった手榴弾は、まだ動く気配がない。
「……にしても動かないね……」
「こいつ電撃に弱いらしいから、脳天に食らったし、しばらくは動けないんじゃない、たぶん」
「よく知ってるなお前」
「普通に博物館のデータに載ってるよ……」
「おお、いたいた……ったく、迷惑なやつだぜ」
会話をする一同の中に入ってきたのは大きな巨体を持ったロボットと、それに乗る小柄な、ピエロのようなロボットだった。
「ええっと……君たちはクラウンマンとアストロマン、だっけ?」
ソーラーマンが入ってきた客に声をかける。
「おう、そうだぜ! 悪かったな、俺の弟が迷惑かけちまって……」
サンダークローでグレネードの体を簀巻きにしながらクラウンはストライクに謝った。
「これからはしっかり監督するからな。それじゃあな」
フロストの背に跨り、ぐるぐる巻きにしたグレネードを引っ張りながらクラウンたちは帰っていた。遠くから
「また会おうぜ、いとしの……」
「黙れ変態!!」
という叫びを聞きながら、しばらくは気に食わない相手でもデッドボールを当てるのはやめておこうと、ストライクは固く心に誓ったのである。……いつまで続くかはわからないが。


終わり


ストライクさんの設定を聞いた時から、グレネードさんとコンビ組ませてみたいと思っていました。
なお、10ボスさんたちのおうちの修理費はグレネードのお財布からちゃんと払われました。

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【2011/03/23 10:45 】 | SS | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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