ルーラーズさん達の作り手は、どちらかというと歴史学や人文学の方が好きな人でした。
「オレな、平和な時代に生まれてたら歴史学者になってた、それか文化学とか、少なくともロボット作ってないな」
と言うどこか奇妙で飄々とした人です。彼はロボットを作る片手間に国の、と言うよりも星の歴史や文化をシコシコと書き溜めていました。
戦争戦争が続いていたある日の事、作り手さんは知り合いの天文学者からもうすぐ人類滅亡クラスの隕石が落ちてくると聞かされます。その天文学者が何年も前から軍部や政治家にその事を知らせていたのですが、彼らは「国民を不安がらせるな」「どうせ外れるだろう」と全く取り合ってくれなかったのです。
「隕石が落ちてくるまで、もう時間もない。宇宙艇はあるにはあるが、生存に適した星は近くにない。もし宇宙に出ても、一時種の寿命が延びるだけで絶滅するしかないだろう」
そんな絶望的な話を聞き、呆然となりながら帰った後、作り手さんの心にふつふつと怒りが湧いてきました。
「隕石が落ちてくるのは仕方ない。それで絶滅するのも天命なのかもしれない。しかし俺が書き溜めてきた歴史や文化が一瞬でパーになるのは腹が立つ」
彼は少し考えた後、自分が作ったロボット――ルーラーズさん達を集合させました。そして彼らに天文学者から聞いた事をそっくり伝え、
「そういうわけだから、お前らオレが書き溜めてきた記録を保存して宇宙艇に乗ってこの星から出ろ」
と言ったのです。 あんまりにもあんまりな命令なので、最初はルーラーズさん達も反対したのですが、彼は頑として聞きませんでした。
「まとめたデータだけを宇宙艇に載せる、と言うのは確かに簡単だし、そっちの方がよいかもしれない。しかし着いた先がとんでもないところで、例えば未開の星だったら、オレのデータは全部壊されたりするかもしれないんだぞ。それでは意味がないじゃないか」
俺たちの危険はいいのか、と言いたくなりましたが、作り手に命令されたのならば仕方ありません。最終的にルーラーズさん達はこの件を承諾することにしました。
天文学者の言うとおりに隕石が落ち、星が全滅したのはデータを記録した彼らを載せた宇宙艇が宇宙に旅立って数時間後のことでした。
ひとまずこんな感じです。
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