「スネークマン×睡れる花嫁」
睡れる花嫁は昭和二十九年に発表された短編です。角川文庫では人面瘡に収録されています。
巡回をしていた警察官が刺殺される。警官殺しの犯人は、数年前、病死した妻を埋葬せず、発見されるまで遺体と生活を続けていた画家の男だった。警察はすぐに調査を開始し、警官殺しの現場となったアトリエに乗り込み、そこで数日前に病院から盗み出された女の死体を見つける。その死体もまた、かつての事件と同じように、愛された跡があった……。
あらすじの段階で引いてしまいそうな、エログロ要素のある短編です。横溝作品……と言うか金田一作品は、結構こういう話もあります(格調高い話とエログロ話を同時に連載して、びっくりされた、と言う逸話も残っていたりするそうな)ただエログロ要素があるからと言って、それで話の全てが染まってしまうか、と言えばそうでもなかったりします。
読むのに少し勇気がいる作品ですが、質は高い短編ですので、読む機会がありましたら、ぜひ一読してみてください。本当、要素は引くのですが、話の筋は理性的ですので。
なおこちらの作品は題材が題材だけに、映画化、ドラマ化等はされてなかった、はずです(ちょっと自信なし)ただ漫画化はJET
、 長尾文子がしています。
JET版は幾分かオリジナル要素が加わっていて、殺された警官の妹が登場し、それがストーリーに絡んできます。長尾版は原作通りの展開ですが、ラストがほんの少し変わっています。どちらが良いかと言えば、……どっちなんですかね。ただ両者とも、ラストの一ページが非常に印象的で私は両方とも好きです。
個人的な話になりますが、この話は花園の悪魔と同じくらい、ダブって持っている作品だったりします。金田一作品は古本を見つけるたびに買ったりしていたのですが、再出版や出版社の違いなどの為に、気づいたらダブっていました。好きな話だけど、三冊はダブりすぎぃ!!
今回もまた、切り絵です。順番を勘違いしていて、「スパークがこの話か」と思っていたのですが、雰囲気が似合うスネークだったのでちょっと安心しました。似合うキャラとちょっと合わないキャラがいたりで、それも面白いと言えば面白いのですが、でもやはり似合うキャラにやってほしいな、とか考えたり。
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