「ウェーブマン&ネプチューン×三つ首塔」
三つ首塔は昭和三十年に連載された長編です。
両親を亡くし、伯父に育てられた主人公、宮本音禰の所に莫大な遺産相続の話が舞い込んでくる。しかしそれを受け取るためには高頭俊作という男と結婚しなければならないと言う。
突然の大事に戸惑う音禰。そんな最中に開かれた伯父の還暦祝いの席で、招かれたアクロバット・ダンサーが血を吐いて倒れ、雇われていた私立探偵が、結婚相手となる高頭俊作がそれぞれ殺されているのが発見される。更にその夜、音禰は殺された高頭俊作のいとこだという高頭五郎に処女を奪われてしまう。……
高頭俊作が死んだことにより、遺産は音禰含む七人が均等に相続することになったが、殺人は止まらない。血の海でもがき苦しみながら、音禰は高頭五郎と共に全ての始まりとなった「三つ首塔」へと向かう。
主人公の一人称で進んで行く話。ミステリー部分よりもサスペンス部分が強いような気がします。犯人ももちろん気になるのだけど、主人公はどうなってしまうのか、という所にそそられると言うか……。怒られそうなんですけど、ハーレクイン系を読んでいる気分になるんですよね、なぜか。あと時代、というのもあるのですが、人によっては主人公はちょっと流されすぎなんじゃね、と思うところがあるかもしれません。
この作品は何回かドラマ化されていて、私は93年に放送されたのをちょっと見たのですが、なんかえらく設定が変更されていてびっくりしました。尺や規制なんかで変更される、というのはままある事ですから仕方ないのかもしれませんが、美少年といわれている人物がおっさんになっているというのはどうかと……。77年に放送された横溝正史シリーズは忠実に作られているらしいので、今度そちらを見てみようと思います。
作品の並びは宝島社から発売された「僕たちの好きな金田一耕助」を参考にしていて、本来なら三つ首塔はグラビティーの番号で、ウェーブさんはその次の吸血蛾に当たるのですが、音禰が高頭五郎に頂かれてしまった時の台詞がウェーブさんにぴったりすぎていて、私の中でどうしてもそれを払拭できないので順番を入れ替えさせてもらいました。
[1回]
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