「はい、どうぞ」
スプラッシュはそういって、小さな白い花弁がたくさん集まった花を手渡した。
「なに、これ?」
「ナズナよ。見たことない?」
バブルはしげしげとそれを見つめて、そういえばウッドが教えてくれた、と思い出す。確か道端に咲いている、俗に言う、ペンペン草、つまり雑草だ。
「……なんでこれを僕に」
花が咲いているとはいえ、雑草は雑草である。もらってもあまり嬉しいとは思えず、バブルはぶっきら棒にスプラッシュに言った。
「花言葉って知らない?花は雄弁なのよ」
「知らないよそんなの」
花言葉、といわれても戦闘用で、しかも男性型のバブルにはとんと検討がつかなかった。
「……ナズナはね……」
怒るバブルのイヤーシーバーを捕まえて、スプラッシュはそっと耳打ちをする。入ってきた言葉に反応したのか、バブルの丸い目が大きく見開かれてゆく。
「……わかってくれた?」
「……十分すぎるほどわかったよ」
マスクをずらしながらそう言うと、バブルはスプラッシュの頬に手を添え、彼女に向き合った。ゴーグル越しでも赤いとわかるほど、彼の顔は紅潮している。
「……その言葉、僕からもそっくり君に送るよ」
渡されたナズナをスプラッシュに返し、バブルは言葉を口移しで伝えた。
――ナズナの花言葉 あなたに私のすべてを捧げます
終わり
ぺんぺん草なんていわれてるけど、花言葉はすごい綺麗で重い。
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