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【2024/11/25 19:51 】 |
金の行方(5ボス一同+α)


 2周年記念リクエスト企画。
 ドタバタな5thで様からのリクエスト「念願の冬のボーナスを貰ったアルバイターズ」
 メガミ設定とかいろいろ混ざっております。
 


拍手[4回]



「ボーナスである!!」
 ワイリー研究所の一角、フィフスナンバーズに割り当てられた部屋の真ん中で、腕を組んだチャージは腹の底から声を出す。
 そんな彼を囲んで、ウェーブとクリスタルは涙ぐみ、ジャイロとストーンとナパームは苦労したよな、と視線を合わせて頷き、グラビティーとスターはわぁいと歓声を上げる。
「本当、エインパークは良い職場だよな」
「全くだ、この不況の折に、しかもバイトにまでボーナス出してくれるんだもんな」
 机の上に置いた八つの茶封筒をしみじみ眺めながら、ストーンは満足げに息を吐く。世間の、正社員が貰うものに比べればその額は少なく、吹けば飛んでしまうほどの軽さである。しかし常に資金難に喘ぐ彼らにとって、どれほどの額であろうともありがたいものであった。そう、例え自分達が自由に使えるものではなかったとしても。すぐに博士の手に渡るものであったとしても、だ。
「さて、博士に渡す前に……」
 歓喜に沸く中、クリスタルは涙を拭ってパン、と手を叩いた。その音にハッと意識を取り戻し、一同は机の前に立つ末弟に目をやる。
「いつもの、恒例の奴をですね……」
「おおっす、皆さんもボーナスを貰ったんですか?」
 張り詰めかけた空気をかき乱すようにドアが開き、挨拶が飛んでくる。部屋に入ってきたのはスペースルーラーズのサターンとビーナスだった。
「どうしたんですか、一体?」
 せっかくの時間を邪魔され、クリスタルは不機嫌そうに訪問者に尋ねる。空気を読んでいないのか、それとも読んだ上であえてなのかは分からぬが、サターンは頭を掻いた後、にいっとクリスタルに微笑みかけた。
「いや、御宅にアルバイトを紹介してもらった、そのお礼に来たんですよ」
「んだんだ、おかげで俺達も正月の準備ができるってもんで……ウラノスがうるさいかんなー、あの男は行事事には細かいとこがあるもんで」
 かつての苦労を思い出しているのだろうか、異星のロボット二体は顔を見合わせては頷きあっていた。
「まあ、お礼はいいんですけど……」
「あ、そうだっ!」
 話を続けようとしたクリスタルを押しのけて、スターは二体の前に立ち、サターンの手を取る。呆気に取られる彼とは対照的に、スターの顔はいつも以上に晴れ渡っており、いささか神経に障るほどであった。
「サターンにビーナス、今、そのボーナスって持っているかしら?」
「一応持ってきているけれど……あ、ちょっと、それはダメっ」
 体にかけている輪から、給料袋を取り出しかけて、サターンは、何かに気づいたのだろう、勢いよく首を振る。
「いくら恩人でも、ボーナスを差し出すのはちょっと……ビーナスならいくらでも……」
「そうそう俺なら……ってお前な」
「いや、ビーナスはいらないし、ボーナスも貰ったりなんかしないわよ」
 危惧が去りほっと一息を吐くが、ビーナスは一抹の寂しさを覚える。そんな彼の心境は置いておくとして、スターは相変わらずの笑顔を浮かべた。
「ただちょっと、そのお金を持たせてほしいだけ。用が終わったらすぐにお返しするし、ねえ、お願いっ」
「……まあ、すぐに返すってんだったら、いいですけど……」
 輪っかの中を探り、サターンは自分の分と、ついでにまだブツブツ言っているビーナスの分のゼニーをスターに手渡す。ありがとう、と礼を言い、スターは貰ったお金をフィフスのボーナスの山に継ぎ足した。
「おお……見ろよ、札束が一ミリ、厚くなった」
 ほんの少し、誤差にしか感じられない変化に、チャージは感嘆の息を漏らす。ジャイロはありがたがってその山に手を合わせ、ウェーブはとうとう感極まって泣き出してしまった。彼の肩に手を添えたストーンの目にも光るものがある始末だ。
「わ、私、こんな分厚いのお金、初めて見た気がしますよ……」
「チケットの束だったらこれくらい当たり前なのにねー」
「あ、俺見た事ある、レースの賞金で」
 一センチにも満たない紙の山を囲み、フィフスはなんともしみったれたと言うか、侘しいと言うか、戦闘用ロボットと言う事を忘れてしまうような言葉を交わし合う。
 サターンとようやく立ち直ったビーナスは、脇でその様子を呆然と見ていたが、彼らもその金の束には、少々興味があった。生まれた星は長い戦乱の為に経済は死んだも同然であったし、なによりロボットがそのような活動に加わると言う概念がなかったのだ。
「あ、ちょっとどんな感じか、持ってみてもいいか?」
 好奇心で手を伸ばすと、途端、ぴしゃりと叩き落される。
「だめですよ、これはまず、グラビティーから持つんです。決まりですから」
 きっと厳しい目をするクリスタルの前に、正反対の柔らかい顔をしてグラビティーが立った。
「んーん、いいよサターン。先に持っても」
 朗らかな言動と表情に、サターンは喜びよりもまず、警戒の方が先だった。苦笑しながらいいのか、とグラビティーにもう一度尋ねるが、その表情は変わらない。むしろ朗らかになるだけだった。
「だってサターンとビーナスがお金貸してくれたおかげで厚くなったんだからさ、ね、いいでしょ?」
 一同はむ、と言葉を詰まらせたが、確かにグラビティーの言う通りなのだ。反対の声が上がらないのを確認し、グラビティーは改めてサターンにお金を手渡した。
「ん……これは……」
 左の親指と人差し指、それから中指でしっかりと押さえながら、右の五指で紙の全体を撫ぜる。高まる緊張の中、何度も紙束に触り、サターンはようやく顔を上げた。
「確かに分厚いな」
「だろー?! 分厚いだろ?!」
 感嘆の溜め息の盛大な合唱が聞こえると同時に、チャージはバシン、と茶色い肩を叩く。サターンはその勢いでよろけたが、それでも金は離さなかった。
「ただの木の繊維の加工品なのに、なんだろうな、すごく尊いなこれ。分厚さに感謝するなんて、装甲以外では初めてだわ」
「尊いに決まってるだろうがお前、だってお前、これ、金だぞ? 一ゼニーが一万溜まった奴なんだぞ?」
「あ、あ、次俺、俺が持つ!」
 貧乏がなせる技であろうか。十体は、金を前にして、和やかになる、と言う不思議な現象を起こしていたのであった。
 
 金の厚さを十分に堪能し、ビーナスとサターンと別れたフィフスは、ワイリー博士の部屋を訪れていた。そう、ボーナスとのお別れ会である。
「はい、ワイリー博士、今回のボーナスです」
「うむ」
 スターが代表となって老化学者に一同の汗と涙の結晶を手渡す。彼らのアルバイト代は、あくまでもワイリーナンバーズ全体の活動資金。どんなこんなしようが、最終的にはワイリー博士の手に渡るものなのだ。ウェーブはまだ未練があるのか、グスグス言っているが、ジャイロに肱で突かれ、なんとかそれを堪えようと必死になっていた。
 いつもであれば、ワイリーが給料を数え、資金額と礼を述べて終わりになるのだが、今回は少し様子が違っていた。
「……ふぅ、みぃ……よ、と……」
 皺だらけの手で枚数を数え、八枚を取り出して、金の山の脇に置く。不思議な事に前列にいたスターとグラビティーそれからナパームは首を傾げた。
「よし、二十四万ゼニー、よく稼いでくれたな、ありがとうなお前達」
 それから、と彼は別にしていた八枚を、ロボット達に差し出した。
「これは、八万ゼニーは、お前達が好きに使いなさい」
 そう付け加えて笑う老人に対し、八体は何も言わなかった。いや、言えなかったのである。
「ほれ、どうした。わしも手を上げているのは疲れるんだぞ」
 もう一度前に差し出される。初めて我に返ったジャイロは、辺りを見回してから、怖々とワイリーに尋ねた。
「あの、それは、その、このお金は、どういった意味、でしょうか?」
「どういったもくそもないわい、これはお前たちの分だ、そう言っとるんじゃよ」
 鼻を膨らませ、彼は強い調子で続ける。
「いつも……特にお前達フィフスには裏方で苦労を掛けとるからなぁ、そのご褒美ってやつじゃよ」
 普段はカツカツな懐も、今年はクイックとターボがバトルアンドチェイスで好成績を残してくれたおかげで、非常に潤っている。いつもは言葉ばかりでしか感謝を表せないが、今回は目に見える形で返そうと、ワイリーはそう思ったのである。
 お金とは縁がとんと薄かった八体のCPUは、ワイリーの言葉を理解しきるのに大分時間がかかった。長いロード時間の果て、今の出来事が本当であると実感した瞬間、彼らは割れるような大歓声を上げたのである。


「と言うわけで、八万ゼニーがあるのである!!」
 八枚の紙で作られた山の前、仁王立ちしたチャージは腕を組んで男泣きしていた。いや、彼だけではない、この部屋にいるロボットで、泣いていない者は一体としていなかった。
「うっ……うぐ……も、もう皆、いい加減泣くのやめにしない、か……?」
 手の甲を強く擦り付け、まだ零れそうな涙を振り切ったジャイロは、誰よりも早く顔を上げた。
「おう、そうだな……ほら、皆も泣き止んで」
 そう呼び掛けあっても、涙はどうしても流れてしまうのだ。堪えては零れ、流れた物を押し止め……最後まで残っていたウェーブがようやく泣き止み、なんとか話し合いが行える状態になるまで、実に三十分がかかったのである。
「さて……この八万ゼニー、どう使いましょうか」
「そりゃやっぱり、貯金だろう!」
 誰よりも早く、ウェーブは手を上げた。
「金は大事だ、万が一の時の為に取っておくべきだろう!」
 もっともな意見に一同は頷いたが、しかしストーンの動きは少し鈍かった。
「あらストーン、何か意見があるの?」
 些末な違いではあったが、目ざといスターは簡単に気づいてしまう。気づかれるとは思っていなかったストーンは目を丸くしたが、すぐに視線を逸らし、居心地悪そうに頬を掻いた。
「ストーン、言いたい事があるなら、早く言った方がいいぞ」
「いや……その、さ、たまにはこう、こういった金をパーッと使ってみたいなーと思ってさぁ。なぁ?」
 彼の提案に、ウェーブを初めとした全員が顔を曇らせた。が、ストーンの意見は非常に魅力的である。誰もが、一度は金を自由に使ってみたいと、思った事があるのだ。
 しかし長い間の貧乏生活、そのような事が出来る度胸が育つ地盤なぞなく、どうしても賛同出来ないのだ。
「あの、さ、これはどうだ?」
 立ち上がったナパームは、机の上の八枚を、器用に四枚ずつに分けた。
「四万ゼニーは貯金して、残りは、使ってみる、ってのはどうでしょうか?」
 これなら心配ないし、ぱーっと使う感じも出るだろ? と付け加えて、特にウェーブとクリスタルの顔色を窺いながらナパームは笑って見せた。
「うーん、全額残したって、こまごました事でちょこちょこ使ってしまいそうだし、それなら今、四万だけでも、しっかり使ってしまった方が、実りがあるかもしれないな」
 援護射撃と言うつもりはないだろが、アゴに手を当てて、まずジャイロが案に乗る。それに対し、したり顔のスターが大きく頷いた。
「何かでずるずる使ってなくす、ってのが気持ちの上ではいっちばん損をするし、そうやってお金があるって思うと、余計に使っちゃったりするのよね」
「ああそれ、あるある。気がでかくなるって奴だよな。俺もこの前千ゼニー持っていたもんだからついガッツと飲みにって……」
「おめえはいつもその調子だろうが」
ナパームの案に他の者達が次々と賛成していく中、クリスタルとウェーブは未だ渋い顔をしていた。しかし。
「まあ……そうですね、一部は使った方が博士への義理も立ちますし……これなら、私は賛成です」
 目を閉じたクリスタルは、諦めを含んだように深く息を吐く。意見を同じくしていたクリスタルがいなくなり、一人残ったウェーブも、仕方ない、とついに折れたのである。
「よし、じゃあこっちは貯金で……こっちの四万は何に使う?」
 貴重品入れに使っている菓子箱にしっかりと四万ゼニーを入れ、机に残された半分を全員無言で見つめる。部屋の中は無音となり、その静けさときたら、大分離れた所にあるエイスの居住地区から響く、破壊音が聞こえてくるほどであった。
 互いに顔を窺い、視線がかち合いそうになると愛想笑いを浮かべて、つれなく逸らす。なんとも気まずい雰囲気がじわじわと重なり始めていた。
 比較的財布のヒモが緩いストーンやスターはもちろんであるが、渋ちんなウェーブ、クリスタルにも、それなりの願望は持っている。ただ、それを口に出すのが怖いのである。
 気体であるはずの空気が鉛のように重くなり始めた頃、恐る恐る口火を切ったのはストーンだった。
「や、やっぱここは皆で飲みに行く、ってのでいかがでしょうか?」
「いいや、ここはE缶だ! 買いだめしようぜ、買いだめ!」
「ばーか、消耗品買いだめしたってあっという間になくなるだろ。長く使えるような奴にしようぜ、棚とか家電品とか」
「使わないような家電を無理に買っても、場所を取るだけだろ。やっぱ貯金した方が……」
「それじゃあ元も子もないわよー。それならそうね、ちょっと旅行に出ない? アタミとかイカホ、クサツもいいわよー?」
「あの、僕、その……」
「クサツって硫黄泉でしょ、あそこ。ロボットには向かないでしょうが。ええと私の占いだと宝くじを買った方がよいと出ていますよ」
「うーん、じゃあ、間を取って俺の博物館の掃除代に」
「んなもん却下だ却下!!」
 六体からの大音量の否定に、ナパームはシュン、と肩を落とす。彼の世話はグラビティーに任せ、他の者達は喧々諤々、四万ゼニーの使い道について話し合う。……が。
「ああー? 何言っているんですかー油中毒さーん? これ以上飲んでお世話になるつもりなんですかー?」
「おーっと俺に言うか? お前の生殺与奪の権利持ってんの、俺なんだけど? やるのか、お前?」
作業用ロボット紛いな事をしていても、彼らは戦闘用ロボットである。微塵ながらも和やかな雰囲気があった話し合いは、次第に険悪さを帯びてきたのだ。
 押し相撲のような体勢で睨み合う、チャージとストーンをなんとか引き剥がし、クリスタルは溜め息を吐いた。たかだが四万ゼニーの為にメンテナンス行き、と言うのはあまりにも情けないし、何よりドクターに悪い。
 その時、スターがぱっと顔を明るくして手を叩いた。……彼がこのような動作をするのは、ろくでもない思い付きをした時だが、疲労した今、その提案を止める気力すら湧いてこない。
「はぁい、皆―ちょっと注目!」
 一際元気な声で呼びかけるスターと対照的に、周りのロボットは全員視線が凶悪になっている。普通な怯みそうな状況だが、しかしそんな物を気にする男ではなかった。
「このまま話し合っても、平行線どころの問題じゃあないから……」
 後ろを向いてごそごそと作業をしてのち、くるりと振り返った彼の手には、細長く切った紙が八本あった。
「くじ引きで決めましょ! 当たりを引いた人が四万ゼニーの使い道を決める」
 どう? と首を傾げてスターの顔は腹が立つが、アイディアとしては良い物である。このままバトルロワイヤルに突入しても、損をするのは自分達である。結局、彼らは素直にスターの提案に賛成し、一体ずつくじを引いてゆく。
やがてスターの手には、一本が残るのみとなった。
「それじゃあ……一斉のせでくじを見せてね、一斉の……」
 せ、とそれぞれのくじを見せる。七本の白い紙に交じり、一本、当たりと書かれたくじがある。そして、それを持つのは……。
「ああー、僕が当たりだー!!」
 破顔したのはグラビティーだった。目を細めてわあいと喜ぶ彼を、七体は呆然として眺める。世の中には物欲センサーなるものがあると言うし、四万ゼニーの使い道を暴露できなかった……もとい、しなかった彼に、幸運の女神がほほ笑んだのかもしれない。
「おめでとうグラビティー、四万ゼニー、どう使いたい?」
 スターの問いかけに、グラビティーは少し考えて。
「うーんと、ねえ……」


 クリスマスソングが流れ、町がいつもよりも華やかになる、師走の終わり。世間の流れとはさほど関係のないワイリー研究所も、この頃は影響されるのか、ほんの少しだけ繁多な空気に包まれる。
「今日面白いテレビあるー?」
「んーとね、……だめ、特番ばっかり!」
「今の時期のテレビに期待しても無駄だって。それよりもゲームしようぜ、ゲーム!」
 とはいえ、一部の子供のようなロボットは、そのような物に影響されるわけがなく、いつもと同じように共用ロビーのソファーでたむろし、どのように遊ぶかに意識を傾けていた。
「やっほー、メリークリスマース!!」
 そんな彼らの前に、バイト先から借りてきた、サンタ帽をかぶったフィフスがやってくる。その腕にはいくつも箱を抱えている。
「どうしたのそれ!」
 ソファーから飛び降り、ヒートがひょこひょこと近づいてくる。グラビティーはにっこり笑いながら、テーブルに置いた一つを開けてみせた。
「わあ……!!」
 中身を見た瞬間、ヒートとスパークは丸い目をキラキラ輝かせて歓喜の声を上げた。白い箱の中には、ロボット用のクリスマスケーキが行儀よく納まっていたのだ。
「凄い、すっごい! ケーキだ!!」
「ば、ばっか、ケーキぐらいでがちゃがちゃ言うなよ、この……」
 強がった口調でクラウンはそっぽを向くが、それが本心でない事は明らかである。素直でない後輩に目を細めながら、今度はストーンが担いでいた袋を開ける。中に入っていたのはE缶だったが、缶のデザインはいつもと違い、華やかになっているのだ。
「あー、これ知っている! クリスマス限定の奴でしょ、確かケーキの味がするって奴!!」
 騒ぎの声に引きつられたのだろう、次第にギャラリーの数が増えてくる。各ナンバーズ、スペースルーラーズ,ロックマンキラーズの者がいる事を確認し、グラビティーは机の物を疲労する為に一歩後退した。
「えーと、各ナンバーズ一個、ケーキ貰って行ってね!」
「食べられない人用に、E缶もありますよ、それも持って行って下さい」
 ヒート達三体以外のロボットほどではないものの、集まってきた者達は、それでもほんの少しだけ、このプレゼントに湧き立った。
「ケーキかぁ、でもまともな感じで食ったのって、初めてかもなぁ」
「去年なんかひどかったもんな、一ホールを、あれ確か七十等分位にして食ってさ」
「七十等分に切る方もすごいけどな」
 なんのかんの言う彼らの顔は、どこかしろ綻んでいる。彼らを見つめるグラビティーの表情もまた、いつも以上に明るい物になっている。
「結構、喜んでもらったみたいだな」
 感心したような口ぶりでチャージは呟いた。耳に入ったのだろう、隣に立っていたウェーブもまた、力強く頷く。
 最初提案を聞いた時はなんと無駄な、と呆れた物だったが、しかし今の様子を見ると、これ以上に有意義な使い方もないような気がするのだ。
「……こんな金の使い方も」
「まあ、ありっちゃ、あり、かもな」
 視線を合わせながら、グラビティー以外のフィフス七人はようやく納得したのである。

 終わり

「……そういや、ケーキとE缶買って、その分のおつりはどうなったんだ?」
「そりゃあなた、それはちゃんと貯金しているに決まってるでしょ」
「……クリスタル、お前って本当、しっかりしてんな」

 今度こそ本当に終わり



 ドタバタな5thで様、大変お待たせいたしました。大分ずれこんでしまい、冬のボーナスの時期になってしまい、申し訳ありません。この話では無事に貯金+(代表して一人でも)自分たちの思うように使っていますが、彼らはなんとなく、大金を掴んでも弁償とかそういった事に使っちゃいそうなイメージがあります(それこそ戦士の宿命でのあのオチみたいな感じが……
 最後になりますが、楽しんでいただけたら幸いです。リクエストありがとうございました。
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