昔、ここにはたくさんの人が住んでいたらしい。近くの山から取れる鉱物は高値で取引され、貧しい人間達は我も我もとここへ脚を運んで職に就いていた。やがて、商店ができ、病院ができ、学校ができ、映画館などの娯楽施設が、鉄道が、次々にできていき、ここは一つの町になった。
でも今は誰もいない。鉱物の量は減少し、人件費は高くなり、輸入物にどんどんとその座を奪われていった。そして鉱山は閉じられてしまったのだ。そして、町が発展していったのとは逆方向に、衰退していった。まず奪われたのは脚となる鉄道だった。その次に娯楽施設が、学校が、病院が、商店が、どんどんとなくなっていく。再利用するにも、あらゆる場所から遠かったそこは、どうしようもできないしどうすることもできない土地だった。
そして町は捨てられた。風に荒らされ、雨に殴られ、植物に侵され、動物に食われ、時に来る悪い人間に嬲られ、形は次第に崩れて削られていった。
埃で汚れたガラスの内側に、日に焼けた白いブラインドが見える。白かった壁は風の乗ってやってくる、鉱山の砂で茶色に染まっている。掲げられた板切れは風雨で掠れて、かすかに見える字と絵柄で、ようやく有名な炭酸飲料の看板だということがわかった。
左側をのぞくと、そこは切り立った崖で、下界には、生きている住居と死んでいる建物が混在した都市がある。その光景は、昔見たアニメ映画の最初に出てくる主人公が暮らす町の俯瞰に良く似ている。右側を見ると、ほとんど直角に近い坂が見えた。ここからいけば人がいる場所にすぐに戻れる。自転車に乗って、地面を思い切り蹴り上げた。
廃墟はいいものです。この二人だったら泳いで軍艦島や長崎の魚雷発射試験場跡(海上に一つ、ポツンと建物だけが残っている。その建物に行く手段は一切ナシ)とかにも行けるんだろうなーと思うけど、ロボットだから重さでコンクリとか壊れちゃうんだろうなーと思ったり。ジャイロさんやジュピター辺りだったら、高山にある廃墟とかなんかも楽々いけるんだろうなと……(でもやっぱり重さでコンクリやレンガ壊れそう)
またなんか廃墟でかきたいです(大雑把かつめんどくさがりの上飽き性なのでどこまでできるかはわかりませんが)
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